離婚できる理由
「相手と離婚したい」「一方的に離婚を切り出された」など、相手と離婚するべきかどうかをめぐって悩んでいる方も多いと思います。
ところで、離婚をするにあたり、何か理由は必要なのでしょうか。
特定の理由でしか離婚できないとなると、特に離婚を望む側にとっては困ってしまいますよね。
ここでは、離婚できる理由について紹介します。
離婚できる場合はどんなとき?
そもそも離婚は夫婦の問題でもありますので、当事者の意思が重視されます。
したがって話し合いで離婚する場合と一方が離婚をいやがっている場合とでは、「離婚できる理由」についての事情は、大きく変わってくるのが通常です。
話し合いで離婚する場合
夫婦間の話し合いや調停といった当事者の話し合いで離婚する場合、特に「離婚できる理由」に制限はありません。
「なんとなく性格や価値観が合わない」「相手と一緒にいるのがイヤになった」といった理由でも、当事者双方が納得すれば離婚することができます。
一方が離婚をいやがっている場合
「自分は離婚したいけど、相手が離婚をいやがっている」「相手に離婚を切り出されたが、自分は別れたくない」といったように、一方が「離婚したくない」と考えている場合は、当事者同士の話し合いで解決するのが難しくなります。
こうした場合に離婚をするためには調停をし、それでも話がまとまらなければ離婚訴訟をするしかありません。
離婚訴訟を起こすためには、離婚原因が必要です。
逆に言うと、離婚原因が認められなければ、いやがる相手と無理やり離婚するのは難しいということになります。
離婚原因とは
相手に離婚原因に該当する落ち度がある場合、離婚訴訟で無理やり相手と離婚することも可能になります。
なお、こちらに離婚原因がある場合、有責配偶者である場合は、離婚を切り出すことは基本的にできないので注意しましょう。
民法上規定されている離婚原因としては、次の5つがあげられます。
不貞行為
配偶者の不貞行為は、離婚原因になります。
不貞行為は不倫や浮気のうち、肉体関係を伴うものをさします。
不貞行為はいわゆる性交疑似行為も含む概念ですので、風俗通いも不貞行為に該当する可能性があります。
一方、キスやプラトニックなデート程度であれば、不貞行為として認められることは難しいかもしれません。
悪意の遺棄
悪意の遺棄とは、生活費を渡さない、正当な理由もないのに同居を拒むなど、社会的な非難に値するレベルで夫婦としての共同生活を営むのに必要な行為をしないことをいいます。
3年以上の生死不明
失踪して行方不明になっている、自然災害に巻き込まれたなどの理由により、3年以上生死不明になっている場合も離婚の請求が認められます。
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないことも離婚原因になります。
もっとも医学が発達した現代では精神疾患にかかったからといって、この理由による離婚は容易には認められないといえるでしょう。
その他婚姻を継続しがたい重大な事由
「上記4つにはあてはまらないけれど、これは離婚させてあげないとかわいそうだ」という事情がある場合は、「その他婚姻を継続しがたい事由」があるとして離婚が認められる可能性があります。
「その他婚姻を継続しがたい事由」の具体例としては、モラハラやDV、過度の浪費、ギャンブルなどがあげられます。
離婚原因はない相手と離婚したいときは?
性格の不一致など離婚原因以外の理由で離婚を希望する場合、裁判での離婚は難しくなります。
このような場合に離婚を望む場合はどうすればよいのでしょうか。
このとき一つの方法として考えられるのが、とりあえず別居してしまうことです。
同居を継続する場合でも、家計を分け、家事も別々とし、交流もしない、という形で、かなり厳格な家庭内別居をするとよいでしょう。
数年間これらの状態が続くと、「夫婦関係が破綻している」として「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして裁判所に離婚を認めてもらえる可能性があるからです。
また、いったん距離を置くことで冷静になり、関係が修復される……ということもあるかもしれません。
「離婚原因はないけれど離婚したい」という場合は、まず相手と別居して様子を見ましょう。
離婚の原因が相手にある場合は慰謝料請求ができる場合も
浮気やDV、モラハラなど離婚に至る原因がもっぱら夫婦の一方にある、という場合、相手の行動によって精神的苦痛を被った配偶者は、離婚の原因を作った側に対して慰謝料の請求もできます。
もし離婚をめぐってトラブルになったら
離婚は夫婦の問題でもありますので、当事者同士で合意できればいつでも離婚できます。
ただ、一方が離婚がいやがっているなど、なかなか話し合いが進まない場合もあるでしょう。
逆に、相手から一方的に離婚を切り出された場合、自分に落ち度がなければ離婚を拒むことも可能です。
相手の言うなりになって離婚してしまうと、後悔してしまうかもしれません。
このようなとき、あらかじめ弁護士のアドバイスを受けておくことで、今後の交渉を有利に進められる可能性があります。
もし離婚について、困ったこと・不安なことがありましたら、一度ご相談いただければと思います。